和醸良酒

和醸良酒」、この言葉を5年前、山本杜氏が酒蔵の壁に掲げました。当社では101日が蔵入りの日と決まっています。そのわずか1ヶ月前、ベテラン松本杜氏の突然の病気。シーズン突入直前で新たに杜氏さんを探す猶予もありません。これまで頭として松本杜氏を補佐してきた山本が頑張るしかありません。
 山本はこれまで長年に渡り酒造り全般を見ており充分酒蔵を取り仕切る自信が有りました。その自信は蔵入り一日目に脆くも崩れ去ります。杜氏は決断を示さねばならないの
です!これまでも酒造りは熟知していましたが、最終決断は下した事が無かったのです。
 この山本を支えたのが
1年とはいえ杜氏経験を持つ吉田行成杜氏でした。彼は1年前、社内の技術蓄積の為、新たに開設された吉田蔵の杜氏経験があったのです。
 酒蔵で杜氏が代わる事は味が代わることを意味し、酒屋の命取りになりかねません。皆必死でした。山本、吉田両杜氏を周りの蔵人が皆でフォローしました。また営業も、「たとえ上手く造れなくても、私達が責任持って売る。杜氏さんは安心して造れ」と励まし、全社一丸となってこの危機に立ち向かいました。
 結果は金沢国税局新酒鑑評会主席優等賞を、更には杜氏就任
1年目にして全国新酒鑑評会金賞受賞の栄誉を得ました。金賞受賞の知らせがあった時、山本杜氏が涙を流しながら蔵人達に「皆、有難う」と頭を下げた姿が忘れられません。
 私は和を大切にした酒造りを今後も目指します
。社員の和、地域の和、販売店との和、お客様との和そして親から子への家族の和。これらが渾然一体となって手取川
130年の歴史を築き上げてきたのだと思います。これからも酒銘「手取川」の様にお互い手を取り合って皆様に「おいしいね」と目尻を下げて頂ける手取川を醸し続けたいと願います。

戻る