惣田養蜂場は大正元年創業です。現店主三代目 吉隆氏のお
じいちゃん 甚吉氏が始めました。現在のハチミツが出来るまでに
は惣田家三代にわたっての、たゆまない努力と工夫がありまし
た。
一代目甚吉さんと蜂の出逢いは劇的です。金沢歩兵第7連隊
で岐阜県に大演習に出かけた時に始まります。
宿泊した家の周囲に箱が置いてあり、その箱から虫が飛び立っ
ては帰ってくるのに気が付きます。不思議に思い宿泊先の方に
尋ねた所、この虫が蜜蜂でこうやって蜜を集めるのだということを
教えてもらいます。
除隊後、早速甚吉氏は岐阜県まで蜂を買い求めに出かけま
す。背中に蜜蜂の箱を背負い汽車で運ぶと云う大変な苦労の末
に持ち込んだとの事です。
これが石川県の養蜂の始まりで,「石川のアカシア蜜」として全
国的に名を成す契機となりました。
時代は移り、戦後になります。二代目甚郎氏が戦地から復員し
て来ます。当時配給制度が未だ残り、店にはサイダー、ビール、
1升瓶にまで番号が付いて並んでいました。甘い物が全く無い時
代で、大人から子供まで糖分不足で困っていました。
甚郎氏は「これだ!」と思い早速、蜜蜂を増やしハチミツを増産
し人々の甘さ不足に充当し喜ばれました。
また小松の農家と協力して蜜蜂によるイチゴの花株交配にも石
川県で始めて取り組みました。これが現在のメロン、スイカなど多
くの蜜蜂による果物交配の先駆けとなりました。
現在甚郎さんと吉隆さんは親子2人で宇ノ気のアカシア、白山
麓のトチ、鳥越のテンポナシと転地して80群の蜂の飼育をしてい
ます。
紛い物が多く出回っている昨今、頑なに本物の蜂蜜のみを生
産しています。
焼きたての食パンに惣田養蜂場の蜂蜜を塗って頬張る。ただそ
れだけでさながら王侯貴族の朝食の贅沢さを味わえると思いま
す。
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